トラロキヌマブ、中等度~重度のアトピー性皮膚炎の成人患者を対象とした臨床第Ⅲ 相試験において、主要評価項目ならびに副次的評価項目を達成
-- 米国皮膚科学会バーチャルミーティングエクスペリエンス(AAD VMX 2020)において、IL-13 を特異的に標的とする治験薬のアトピー性皮膚炎に対する初めての Phase 3 試験成績として、ECZTRA 1、2、及び 3 試験の結果に基づき、トラロキヌマブが主要評価項目と副次的評価項目を満たすことが確認されたと発表された 。
-- トラロキヌマブは、そう痒症(かゆみ)や患者さんにとって重要な健康関連の生活の質(QOL)の評価を含め、統計的に有意な改善を示した --
-- ECZTRA 1及び2試験では、トラロキヌマブ300 mgを隔週投与し、16週時に主要評価項目を達成した患者さんの大部分は、ステロイド外用剤を併用することなく52週時点においても奏功を維持した--
-- ECZTRA 3試験で、トラロキヌマブ300 mgをステロイド外用剤と併用し、16週時点で皮膚の状態が完全またはほぼきれいになった患者さんのうち、さらに32週時点まで継続して隔週投与群に無作為割付された10名中9名は、32週時点においても奏功状態を維持した。同様に、16週時点で新たに4週間に1回の投与群に無作為割付された患者さん10名中8名は、32週時点においても、16週時点で評価された皮膚状態を維持した --
デンマーク、バレラップ発 、 2020 年 6 月 12 日 - 皮膚科医療の世界的リーダーである LEO Pharma A/S(以下「LEO Pharma」)は本日、トラロキヌマブの 3 つの第Ⅲ相試験(ECZTRA 1~3 試験)の結果について、トラロキヌマブ 300 mg を隔週皮下投与することにより、ステロイド外用剤(TCS)併用の有無にかかわらず、中等度から重度の成人のアトピー性皮膚炎(AD)に対して、有効性と安全性が検証されたことを発表しました。この結果は、米国皮膚科学会バーチャルミーティングエクスペリエンス(AAD VMX 2020)でオンライン発表されました。3,4
トラロキヌマブは臨床開発中の治験薬であり、これまでにいずれの規制当局においても、その有効性と安全性は審査されていません。トラロキヌマブは、AD に内在する慢性炎症の主要な誘因である IL-13 サイトカインを特異的に中和する完全ヒトモノクローナル抗体です。1,2
3 試験すべてにおいて、トラロキヌマブは 16 週時点で、皮膚の状態が完全またはほぼきれいになったかを評価する IGA 0/1(Investigator Global Assessment:治験責任医師による全般的評価)、及びアトピー性皮膚炎の病変の範囲と重症度が少なくとも 75%以上減少したことを示す EASI-75( Eczema Area andSeverity Index:湿疹面積及び重症度指標)の二つの主要評価項目を達成しました。トラロキヌマブを隔週投与することにより、TCS を併用の有無にかかわらず、皮膚病変の程度や重症度、そう痒症(かゆ2み)や健康関連の生活の質(QOL)の評価を含む副次的評価項目においても、16 週時点で有意な改善を示しました。AD の徴候や症状を評価する副次的評価項目については、以下のスコアの変化により評価しました:SCORAD(SCORing Atopic Dermatitis:アトピー性皮膚炎評価尺度)、NRS(PruritusNumeric Rating Scale:そう痒症数値評価尺度)、及び DLQI(Dermatology Life Quality Index:皮膚疾患関連の QOL 指標)。3,4
ECZTRA 1 及び 2 の単剤投与試験では、トラロキヌマブ 300 mg を隔週投与し、16 週時点で主要評価項目(IGA 0/1 又は EASI-75)を達成した患者さんの大部分は、TCS を使用することなく 52 週時点でも奏功を維持しました。3
ECZTRA 3 併用投与試験では、トラロキヌマブと TCS を併用投与した患者さんで 16 週時点で IGA 0/1(39%)及び/又は EASI-75(56%)を達成した患者さんの割合は、プラセボと TCS を併用投与した患者さん(26%及び 36%)に比べて有意に高いことが示されました(IGA 0/1 と EASI-75 でそれぞれp=0.015 及び p<0.001)。4
さらに、16 週時点で主要評価項目を達成した患者さんの多くは、その後にトラロキヌマブの投与を 2 つの異なる投与頻度で継続した 32 週時点でも奏功状態を維持しました。隔週のトラロキヌマブ継続投与群(TCS 併用)に無作為割付された患者さん 10 名中 9 名は、32 週時点でも皮膚が完全またはほぼきれいな状態が維持され、4 週間に 1 回のトラロキヌマブ継続投与群(TCS 併用)に無作為割付された患者さんでは、10 名中 8 名でした。3,4
トラロキヌマブは、有害事象(AE)の発現率と重症度に関して、52 週間にわたりプラセボと同程度の安全性プロファイルを示しました。3,4
ECZTRA 2 試験の治験責任医師であり、オレゴン健康科学大学皮膚科学教授である Eric Simpson
(M.D.)は次のように述べました。「中等度~重度の AD では、身体的、社会的、感情的に深刻な影響を及ぼすため、患者さんはさらなる治療選択肢を強く必要としています。AD において皮膚炎症を促す主要なエフェクターサイトカインであると示唆されている IL-13 のみを特異的に標的とした生物学的製剤について、AD を対象とした第Ⅲ相試験で提示された初の結果です。」
LEO Pharma の Global Research & Development 部門の Executive Vice President である Kim Kjoeller(M.D.)は次のように述べています。「16 週時点で主要評価項目を達成した患者さんに TCS と併用でトラロキヌマブを隔週投与すると、32 週時に 10 名中 9 名が奏功状態を維持した結果を見て、励まされています。さらに、隔週トラロキヌマブを単剤投与して 16 週時点で主要評価項目を達成した患者さんの大部分は、TCS を使用しなくても 52 週時点で奏功状態を維持していました。LEO Pharma では皮膚科領域での経験をいかして、炎症性皮膚疾患の科学的発展に戦略的に焦点を当てることにより独自の立場を築き、AD の患者さんの深刻で多様な満たされないニーズに取り組んでいます。」
ECZTRA 1 及び 2 試験の単剤投与の結果(それぞれ n=802 及び n=794)3
有効性
- 16 週時における IGA 0/1 の達成率は、ECZTRA 1 試験ではトラロキヌマブ 16%に対してプラセ ボ 7%(p=0.002)、ECZTRA 2 試験ではトラロキヌマブ 22%に対してプラセボ 11% (p<0.001)でした。
- 16 週時における EASI-75 の達成率は、ECZTRA 1 試験ではトラロキヌマブ 25%に対してプラセ ボ 13%(p<0.001)、ECZTRA 2 試験ではトラロキヌマブ 33%に対してプラセボ 11% (p<0.001)でした。
- 16 週時に IGA 0/1 を達成した患者さんのうち、トラロキヌマブの隔週投与で 52 週時に奏功を維 持した割合は、ECZTRA 1 試験では 51%、ECZTRA 2 試験では 59%でした。トラロキヌマブ 4 週間に 1 回投与群に無作為割付された患者さんで奏功維持された割合は、ECZTRA 1 試験では 39%、ECZTRA 2 試験では 45%でした。
- 16 週時に EASI-75 を達成した患者さんのうち、トラロキヌマブの隔週投与で 52 週時に奏功を維 持した割合は、ECZTRA 1 試験では 60%、ECZTRA 2 試験では 56%でした。トラロキヌマブ 4 週間に 1 回投与群に無作為割付された患者さんで奏功維持された割合は、ECZTRA 1 試験では 49%、ECZTRA 2 試験では 51%でした。
安全性
ECZTRA 1 試験:ECZTRA 1 試験において、有害事象の発現率(トラロキヌマブ投与群で 76%、プラセ ボ投与群で 77%)と重症度は、16 週間にわたって投与群間で同程度でした。52 週間にわたる有害事象 プロファイルは、初期 16 週間と同じでした。
- トラロキヌマブで多く報告された最も一般的な有害事象は、ウイルス性上気道感染(トラロキヌ マブで 23%、プラセボで 21%)、結膜炎(トラロキヌマブで 7%、プラセボで 2%)などでし た。
ECZTRA 2 試験:ECZTRA 2 試験において、有害事象の発現率(トラロキヌマブ投与群で 62%、プラセ ボ投与群で 66%)と重症度は、16 週間にわたって投与群間で同程度でした。52 週間にわたる有害事象 プロファイルは、初期 16 週間と同様でした。
- トラロキヌマブで多く報告された最も一般的な有害事象は、上気道感染(トラロキヌマブで 10%、プラセボで 9%)、結膜炎(トラロキヌマブで 3%、プラセボで 2%)などでした。
ECZTRA 3 試験の TCS との併用投与の結果(n=380)4
有効性
- トラロキヌマブと TCS を併用投与した患者さんで 16 週時に IGA 0/1(39%)及び EASI-75 (56%)を達成した患者さんの割合は、プラセボと TCS を併用投与した患者さん(それぞれ 26%及び 36%)に比べて有意に高いことが示されました(それぞれ p=0.015 及び p<0.001)
- 16 週時点で主要評価項目を達成した患者さんの 90%(IGA 0/1)と 93%(EASI-75)は、隔週の トラロキヌマブ 300 mg と TCS との併用により、32 週時点でも奏功を維持しました。
- 16 週時点で主要評価項目を達成した患者さん(初期の 16 週間は隔週のトラロキヌマブ 300 mg と TCS との併用)の 78%(IGA 0/1)と 91%(EASI-75)は、4 週間に 1 回のトラロキヌマブ 300 mg 投与と TCS との併用に切り替えても、32 週時点でも奏功を維持しました。
安全性
ECZTRA 3 試験:ECZTRA 3 試験において、有害事象の発現率(トラロキヌマブと TCS を併用投与した 群で 71%、プラセボと TCS を併用投与した群で 67%)と重症度は、16 週間にわたって投与群間で同程 度でした。32 週間にわたる有害事象プロファイルは、初期 16 週間と同様でした。
- トラロキヌマブ群で多く報告された最も一般的な有害事象は、ウイルス性上気道感染(トラロキ ヌマブ群で 19%、プラセボ群で 11%)、結膜炎((トラロキヌマブ群で 11%、プラセボ群で 3%)、頭痛((トラロキヌマブ群で 9%、プラセボ群で 5%)、上気道感染((トラロキヌマブ 群で 8%、プラセボ群で 5%)、注射部位反応((トラロキヌマブ群で 7%、プラセボ群で 0.0%)などでした。
- 特に注目すべき有害事象として、トラロキヌマブ群では、プラセボ群に比べて、重度及び重篤な 感染症とヘルペス性状湿疹の発現率が低下しました。
ECZTRA 1、2、3 試験について
ECZTRA 1 試験と ECZTRA 2 試験(ECZema TRAlokinumab 試験 1 及び 2)は、無作為化、二重盲検、 プラセボ対照、国際共同 52 週間試験であり、それぞれ成人患者 802 名及び 794 名を対象に、全身療法 の対象候補とされた中等度~重度の成人 AD 患者にトラロキヌマブ(300 mg)を単剤投与した場合の有 効性と安全性を評価しました。
いずれの試験でも、ウォッシュアウト期間後に、トラロキヌマブ 300 mg 又はプラセボの隔週、16 週間 の皮下投与群に患者さんを無作為割付しました。 トラロキヌマブの投与は、0 日目に 600 mg の負荷投 与により開始しました。16 週時点で、主要評価項目を達成したした患者さん(IGA スコア 0/1、EASI75 の両方、あるいはいずれか)は、さらに 36 週間、トラロキヌマブの隔週(Q2W)若しくは 4 週間に 1 回(Q4W)の投与、又はプラセボ投与に再度無作為割付しました。16 週時点でプラセボが奏功した患者 さんは、盲検化維持のためにプラセボ投与を継続しましたが、再度無作為割付せず、有効性解析の対象 にも含めませんでした。試験基準に基づき、主要評価項目未達の全ての患者さんには、非盲検下でトラ ロキヌマブを隔週で投与し、TCS の併用を任意としました。
ECZTRA 3 試験は、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、国際共同 32 週間試験であり、成人患者 380名 を対象に、全身療法の対象候補とされた中等度~重度の成人 AD 患者にトラロキヌマブ(300 mg)を TCS と併用投与した場合の有効性と安全性を評価しました。
ウォッシュアウト期間後に、中等度~重度の AD 患者さんをトラロキヌマブ 300 mg(Q2W)と TCS の 併用投与群又は対照群(プラセボ(Q2W)と TCS の併用投与群)に無作為割付しました。トラロキヌマ ブの投与は、0 日目に 600 mg の負荷投与により開始しました。16 週時点で、主要評価項目を達成した 患者さん(IGA 0/1 及び/又は EASI-75)は、さらに 16 週間、トラロキヌマブ Q2W と TCS の併用投与 群、又はトラロキヌマブ Q4W と TCS の併用投与群に再度無作為割付しました。16 週時点でプラセボと TCS との併用投与により主要評価項目を達成した患者さんは、試験の盲検化維持のために同投与を継続 しましたが、再度無作為割付せず、有効性解析の対象にも含めませんでした。試験基準に基づき、主要 評価項目未達の全ての患者さんには、トラロキヌマブ Q2W と TCS を併用投与しました。4
アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎(AD)とは、慢性かつ炎症性の不均一な皮膚疾患であり、強いかゆみと湿疹様病変を 特徴とします。5 ADは、皮膚バリアの障害と免疫調節異常によるものであり、慢性炎症に至ります。6 IL-13やIL-4などの2型サイトカインは、ADの病態生理の重要な側面において、中心的な役割を担いま す。1免疫調節異常により、皮膚の病変部位や非病変部位でIL-13が過剰発現し、皮膚の病変部位のIL-13 の発現レベルは、ADの重症度と相関しています。7,8
トラロキヌマブについて
トラロキヌマブは、IL-13 サイトカインを中和することにより作用する完全ヒト免疫グロブリン(Ig)G4 モノクローナル抗体(mAb)です。1,2 IL-13 は、AD に内在する慢性炎症の誘因として主要な役割を担 います。1,8トラロキヌマブは、高い親和性で IL-13 サイトカインに特異的に結合することにより、受容 体との相互作用やその後の下流 IL-13 シグナル伝達を防ぎます。1,2
LEO Pharma について
LEO Pharma は、豊富な臨床開発パイプラインや幅広い治療薬とともに、開拓者精神を持つ、皮膚科医 療のリーダー企業です。創立は 1908 年であり、LEO 財団が会社を保有しています。LEO Pharma は皮 膚科学の進歩のため長年にもわたり臨床開発に専念し、皮膚疾患を有する患者さんを対象とした新たな 標準治療を提供してきました。本社はデンマークにあり、グローバルで 6,000 人の従業員が 130 カ国 9,200 万人の患者さんのために働いています。LEO Pharma の詳細情報については、www.leopharma.com をご参照ください。
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hdtdk@leo-pharma.com
1 Bieber T. Interleukin-13: Targeting an underestimated cytokine in atopic dermatitis. Allergy. 2020;75:54–62.
2 Popovic B, et al. Structural characterisation reveals mechanism of IL-13-neutralising monoclonal antibody tralokinumab asinhibition of binding to IL-13Rα1 and IL-13Rα 2. J Mol Biol. 2017;429:208-219. 3 Simpson E, et al. Efficacy and safety of tralokinumab monotherapy in adult patients with moderate-to-severe atopicdermatitis: Results from two 52-week Phase 3 trials (ECZTRA 1 and ECZTRA 2). Featured at the American Academy ofDermatology Virtual Meeting Experience (AAD VMX); June 12, 2020.
4 Weidinger S, et al. Efficacy and safety of tralokinumab with concomitant topical corticosteroid in adult patients withmoderate-to-severe atopic dermatitis: Results from the 32-week Phase 3 ECZTRA 3 trial. Featured at the American Academy ofDermatology Virtual Meeting Experience (AAD VMX); June 12, 2020.
5 Weidinger S, et al. Atopic dermatitis. Lancet 2016;387:1109-1122.
6 Boguniewicz M, et al. Atopic dermatitis: a disease of altered skin barrier and immune dysregulation. Immunol Rev 2011;242(1):233-46.
7 Sanyal RD, et al. Atopic dermatitis in African American patients is TH2/TH22-skewed withTH1/TH17 attenuation. Ann of AllergyAsthma Immunol. 2019;122:99-110.e6.
8 Tsoi LC, et al. Atopic dermatitis is an IL-13 dominant disease with greater molecular heterogeneity compared to psoriasis. J
Invest Dermatol 2019;139:1480-1489.
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1908 年創業のレオ ファーマは、研究主導の製薬会社です。皮膚疾患の治療薬を開発・製造し、世界130カ国以上で販売しています。
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