中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対する治療薬 アドトラーザ®(トラロキヌマブ)の長期投与に関する新たなデータを発表
報道関係各位
本資料は、レオ ファーマA/Sが2023年10月13日(デンマーク、バレラップ発)に発表したプレスリリースの日本語訳を参考資料として用意しました。資料の内容および解釈については英語版が優先されます。英語版は www.leo-pharma.comをご覧ください。
英文タイトル:LEO Pharma Presents New Long-Term Data on Use of Adtralza® (tralokinumab) to Treat Moderate-to-Severe Atopic Dermatitis (AD)
- 現在実施中のECZTEND非盲検延長試験の4年目の事後的な中間サブグループ解析において、中等症から重症のAD成人患者にアドトラーザ®を継続投与することで長期疾患コントロールが達成されるかどうかを評価しました1。
- アドトラーザ®に関するこれまでの試験結果と一致する安全性プロファイルのエビデンスが、上記のECZTEND試験中間解析結果およびECZTEND試験と7つの先行試験の統合解析によってさらに裏付けられました1,2。
- アドトラーザ®のリアルワールドでの臨床使用(TRACE)を評価したアトピー性皮膚炎患者のコホート研究でも初期の研究結果が得られています3。
デンマーク、バレラップ発:2023年10月13日 – 皮膚科領域に特化した製品を開発、発売しているレオ ファーマA/Sは、中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者において4年間のアドトラーザ®による投与を継続した場合の長期安全性および有効性を評価した新たなデータを発表しました。ベルリンで開催された第32回欧州皮膚科性病科学会議(European Academy of Dermatology and Venereology[EADV])での2つの口頭発表にてこれらの結果が示されました1,2。
現在実施中の5年間にわたる単群、非盲検、延長試験であるECZTEND試験の事後的な中間サブグループ解析において、中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者を対象としたアドトラーザ®の継続投与で4年間の長期疾患コントロールが達成されるかどうかを評価しました。この解析結果は、先行試験である第3相ECZTRA 1および2試験に登録され、ECZTEND試験に参加した患者から得られたものです。今回得られた結果は、これまで発表したECZTEND試験の中で最も投与期間が長く、最大規模で最も均質な患者集団によるものでした1。
解析には、アドトラーザ®を最長4年間投与した347例の成人患者が含まれました。本剤投与期間のの終了時点において、患者の52.6%で皮膚病変の医師による包括的評価スコア0(消失)または(ほぼ消失)(IGA 0/1)が認められました1。患者の84.5%において、湿疹面積・重症度指数で75%以上の改善(EASI-75)を達成し、64.4%ではEASI-90を達成しました。安全性プロファイルは先行解析の結果と一致しており、4年間の投与期間でアドトラーザ®の継続投与による新たな安全性シグナルはみられませんでした1。
アドトラーザ®の安全性プロファイルは、最長4.5年間の長期投与の追加の統合解析によっても裏付けられました。有害事象のパターンも初期のプラセボ対照投与期間と一致しており、新たな安全性シグナルはみられませんでした。この解析は、7つのプラセボ対照試験およびECZTEND試験においてアドトラーザ®を投与された2,693例の患者(12歳以上、5,320人年の曝露)を対象としました2。
ECZTEND試験の国際治験調整医師で、米国オレゴン州ポートランドにあるオレゴンメディカルリサーチセンターのDr. Andrew Blauveltは次のように述べています。「長期疾患コントロールは、アトピー性皮膚炎患者の重要なニーズです。今回の新たな長期データは、アドトラーザ®による治療により、長期にわたってこの消耗性疾患を抱えて暮らす人々に現実的なベネフィットをもたらす持続的な有効性の維持が得られることを示しています。」
2つの口頭発表に加えて、ドイツにおけるアドトラーザ®のリアルワールドでの臨床使用(TRACE)に関するコホート研究から得られた研究結果に関するポスター発表も行われる予定です。この中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者を対象とした観察的、前向き、単群コホート研究は、日常の診療におけるアドトラーザ®の有効性、安全性、および臨床使用に関する理解を深めることを目的としています3。
レオ ファーマのチーフ・ディベロップメント・オフィサーであるKreesten Meldgaard Madsenは次のように述べています。「アドトラーザ®に関するこの最新データを示すことができたことを誇りに思います。 レオ ファーマは、この長期のリアルワールドエビデンスにより、アドトラーザ®の既存の研究基盤の増強を目指します。」
アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、慢性の炎症性皮膚疾患であり、強いかゆみと湿疹性病変を特徴とします4。アトピー性皮膚炎は、皮膚バリアの障害と免疫調節異常に起因し、慢性炎症に至ります5。IL-13を含む2型サイトカインは、アトピー性皮膚炎の病態生理の重要な側面において中心的な役割を担います5,6。
アドトラーザ®について
アドトラーザ®は、アトピー性皮膚炎の徴候・症状の根底にある免疫および炎症プロセスにおいて重要な役割を果たすサイトカインであるIL-13に結合、阻害することを目的として開発された、高親和性のヒトモノクローナル抗体であり、米国ではAdbry®の商品名で販売されています5,6。アドトラーザ®は、IL-13に特異的に結合することにより、IL-13受容体のα1およびα2サブユニット(IL-13Rα1およびIL-13Rα2)との相互作用を阻害します7。
アドトラーザ®は、欧州連合、カナダ、英国、アラブ首長国連邦、および韓国では、中等症から重症のADの成人患者および12歳以上の青少年患者で全身治療候補者の治療を適応として承認されています。米国、スイス、サウジアラビア、および日本では、中等症から重症のアトピー性皮膚炎成人患者の治療を適応として承認されています。
ECZTEND - 長期延長試験について
ECZTEND試験(過去のアドトラーザ®試験に参加したアトピー性皮膚炎患者における長期延長試験)は、5年間にわたる進行中の第3相長期、非盲検、単群、延長試験です。その目的は、これまでに行われたアドトラーザ®単剤投与試験(ECZTRA 1およびECZTRA 2)、アドトラーザ®とステロイド外用剤(TCS)の併用投与試験(ECZTRA 3)、薬物相互作用(DDI)試験(ECZTRA 4)、ワクチン試験(ECZTRA 5)、青少年を対象とした試験(ECZTRA 6)、経口シクロスポリンA試験(ECZTRA 7)、日本人患者を対象としたアドトラーザ®とTCSの併用投与試験(ECZTRA 8)、またはアドトラーザ® 単剤投与による皮膚バリア機能試験(TraSki)に参加したアトピー性皮膚炎患者を対象にアドトラーザ®の安全性および有効性を評価することです。治療に対する反応の有無や、アドトラーザ®またはプラセボのいずれを投与したかに関係なく、先行試験を終了すれば、ECZTEND試験に参加できます8,9。
レオ ファーマ株式会社について
レオ ファーマは、皮膚疾患の患者さんやそのご家族、そして社会のために、標準治療の発展に貢献することを目指したグローバル企業です。1908年に創立され、大部分の株式をレオ財団が所有するレオ ファーマは、皮膚科学の発展のため、数十年にわたって研究開発に専念してきました。現在、レオ ファーマは疾患のあらゆる重症度に対応する幅広い治療薬を提供しています。本社をデンマークに置き、全世界で4,700人の社員が、世界の国々で何百万人にものぼる患者さんのために従事しています。2022年には、106億デンマーク・クローネの純売上を達成しました。
■参考文献
- Blauvelt A, et al. Continuous tralokinumab treatment over 4 years in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis provides long-term disease control. Presented at the European Academy of Dermatology and Venereology (EADV) Congress 2023. Berlin, Germany. 11– 14 October.
- Reich K, et al. Safety of tralokinumab for the treatment of atopic dermatitis in patients with up to 4.5 years of treatment: an updated integrated analysis of eight clinical trials. Presented at the European Academy of Dermatology and Venereology (EADV) Congress 2023. Berlin, Germany. 11– 14 October.
- Thaçi D, et al. A global, observational, cohort study of patients with atopic dermatitis to evaluate tralokinumab real-world clinical use (TRACE): baseline characteristics from the first 100 patients in Germany. Presented at the European Academy of Dermatology and Venereology (EADV) Congress 2023. Berlin, Germany. 11– 14 October.
- Weidinger S, et al. Atopic dermatitis. Lancet. 2016;387:1109-1122.
- Boguniewicz M, et al. Atopic dermatitis: a disease of altered skin barrier and immune dysregulation. Immunol Rev. 2011;242(1):233-46.
- Bieber T. Interleukin-13: targeting an underestimated cytokine in atopic dermatitis. Allergy. 2020; 75:54-62
- Popovic B, et al. Structural characterisation reveals mechanism of IL-13-neutralising monoclonal antibody tralokinumab as inhibition of binding to IL-13Rα1 and IL-13Rα2. J Mol Biol. 2017; 429:208-19.
- Blauvelt A, Langley RG, Lacour JP, et al. Long-term 2-year safety and efficacy of tralokinumab in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis: Interim analysis of the ECZTEND open-label extension trial. J Am Acad Dermatol. 2022;87(4):815-824.
- ClinicalTrials.gov. National Library of Medicine (U.S.). Long-term Extension Trial in Subjects With Atopic Dermatitis Who Participated in Previous Tralokinumab Trials – ECZTEND. Identifier: NCT03587805.
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03587805.
LEO Pharma
レオ ファーマは研究開発志向型の製薬会社です。
1908 年創業のレオ ファーマは、研究主導の製薬会社です。皮膚疾患の治療薬を開発・製造し、世界130カ国以上で販売しています。
私たちは、「世界中の人々の生活改善に貢献する皮膚科領域のケアパートナーになる」ことを目指した事業活動を行っています。このビジョンの実現のため、私たちは新たな地域や市場への進出に努め、いまだ満たされていない医学的ニーズに応える競争力のある医薬品と治療法を、さらに多くの患者さんや社会へとお届けします。
本社はデンマークにあり、レオ財団が所有しているため、安定的な経営を可能にしています。