皮膚疾患の基礎知識(2)皮膚疾患とQOL / 皮膚病変があったら皮膚科に受診を
皮膚疾患とQOL 1)
皮膚疾患によって引き起こされるかゆみや皮膚の病変は、患者さんの生活の質(QOL)を大きく損ないます。
例えば、かゆみがあると睡眠が妨げられたり、集中力が下がったりしてしまいます。
また、皮膚の炎症がずっと続き、広い範囲に皮膚症状が出てしまうアトピー性皮膚炎では、重症の患者さんほどQOLへの影響が大きいと言われています。
皮膚疾患と社会的損失
「病気や障害の負担がある状態で生活する期間を表す、障害生存年数(YLD)という指標があります。
皮膚疾患のYLDは全体の中で、腰痛、うつ病、鉄欠乏性貧血に次いで、4番目に長いというデータもあります 2)。
また、かゆみを訴える患者さんでは、全般的な生産性への影響について、以下のような結果が示されています 3)。
- 労働が障害された率:39%
- 勉学が障害された率:45%
- 日常活動が障害された率:42%
これらの情報からも、皮膚疾患が生産性を下げ、社会的損失につながることが示唆されます。
【参考文献】
1) 檜垣裕子: 心身医学, 2017, 57(12), 1215-1220.
2) Hay RJ, et al.: J Invest Dermatol. 2014, 134(6):1527-1534.
3) Murota H, et al.: Allergy. 2010, 65(7), 929-930.
皮膚病変があったら皮膚科に受診を
見慣れない皮膚の病変がありましたら、皮膚科を受診することをお勧めします。
皮膚に症状があっても、皮膚の病気にとどまらないこともあります 1)。
皮膚は「全身の鑑<かがみ>」ともいわれます 2)。
内臓が悪くなったとき、そのサインが皮膚に出てくることがあります 。
放っておくと、皮膚症状や内臓の病変が悪化することもあります 1) 。
ご自身の健康を守るためにも、皮膚に異常を感じたら放っておかずに皮膚科を受診しましょう。
【参考文献】
1) 病気がみえる vol.14 皮膚科, 2020, pp.14,30, メディックメディア, 東京
2) 椛島健治:医学のあゆみ 2012, 242(10), 771-773