トピックス(7)冬のスキンケア・保湿
冬になると、肌荒れを起こす人が増えます。また、乾癬のように冬に悪化しやすい皮膚疾患もあります1)。どのようにスキンケアをしたらよいのでしょうか。
冬の皮膚と保湿の重要性 2)
冬になると空気が乾燥し、寒さにより皮膚の働き(脂腺・汗腺の作用)が弱まることもあって皮脂が減少します。また、寒くなると手洗いにお湯を使いますし、最近では頻繁にアルコールで手指を消毒することもあり、皮脂はさらに薄くなってしまいます。さらに、乾燥が進むことで皮膚のハリや弾力が失われ、そのまま放置すると皮膚に亀裂が起きるなどのトラブルが生じやすくなるため、念入りな保湿が欠かせません。
保湿剤の使い方 2)
保湿剤を使う際に大切なことは、皮膚に水分が含まれた状態で塗布することです。入浴後は5分以内、手洗い後は肌がしっとりしているうちに保湿剤を塗ります。
アトピー性皮膚炎など皮膚疾患をもつ人や水仕事をよくする人は、手荒れが生じやすいので、水仕事や手洗いの後は毎回保湿剤を塗ることを習慣にすることが大切です。
マスク着用時の肌荒れ予防も保湿がポイントに 3,4)
また、一般に冬はマスクを着ける人が多くなる季節ですし、コロナ禍の下では季節を問わずマスクが欠かせない生活です。マスクの長時間使用による肌荒れ、皮膚障害に悩む人も少なくありません。その原因として、①マスク着用による蒸れ、②マスクの摩擦刺激、③マスクの素材による炎症やアレルギー反応などが考えられます。診断名は、(刺激性・アレルギー性)接触皮膚炎などになります。
マスクによる接触皮膚炎の予防で重要なポイントのひとつは、やはり保湿です。「蒸れているから不要では?」と思われるかもしれませんが、蒸れと潤いは別のものです。蒸れは「肌のバリア機能を弱める」、潤いは「肌のバリア機能を整える」ものだと考えてください。マスクを着けると肌荒れしやすい人は、着用前に保湿をしてみましょう。
【参考文献】
1) 多田弥生:MB Derma 2017, 259, 57-63
2) 安田利顕著, 漆畑修改訂:美容のヒフ科学 改訂10版, 2021, pp112,115,166 南山堂, 東京
3) 野村有子:臨皮2021, 75(5増), 10-17
4) 日本皮膚科学会ほか:接触皮膚炎診療ガイドライン 日皮会誌 2020, 130(4), 560